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2006年 11月 05日

Golden Age,Black Age

新労使協定を承認 大リーグのオーナー会議(共同通信) - goo ニュース
Baseball in golden age, indeed(MLB.com)
プロ野球選手会 PSGボイコットも(スポーツニッポン) - goo ニュース


ワールドシリーズが終わってしばらく経った10月31日に、日経新聞の朝刊と夕刊では、ワールドシリーズ開催中に合意になった
労使協定についてのコラムが載っていました。ワールドシリーズの視聴率はここ数年で最低を記録しましたが、2011年までは
労使のせめぎ合いが消えたことで、バド・セリグ・コミッショナーからは”Golden Age”なる言葉まで出てきたほどです。残りは
選手会側の手続きが完了すれば、メジャーリーグは「我が世の春」を迎えます。

今回の協定は、以前からあった「年俸総額が一定額を超えた場合に課徴金(ぜいたく税)を払う制度や、高収入球団がその一部を
供出する収益分配制度は存続」(共同通信)することになっています。このようにして勢力均衡を図ることができ、3年前に3桁も
負けたタイガースがワールドシリーズへ進出することができるようになりました。31日の日経朝刊では、この流れに大きく影響した
ものとして、日経らしく「エンロン裁判」で元CEOに24年の禁固刑が出されたことがあるとしています。金でものをいわせる1人が
勝ちまくってそれ以外は負け組という”Winner takes all”という意識が、エンロン事件とその裁判を通じて見直される契機に
なったのだというのです。もちろん、この分配金制度などで例えばロイヤルズやデビルレイズがすぐに強くなるとはにわかに
信じがたいですが、資金でモノをいわせるチームとそういう道を進まないチーム双方がプレイオフ争いでは同等の戦いができる
今の制度は成功していると言えるでしょう。

一方で、交渉時の選手側代表のクレイグ・カウンセルが「逆に気味が悪い」くらいに意外かつスムーズに労使交渉が合意されたのは
なぜだろうかという点については、31日夕刊のジム・ケイプル(ESPNでもおなじみ)いわく、WBCの成功で選手会とリーグが一つの
目標を達成しようと努力した点、そして選手もオーナー側も高収益を上げているので、今の段階では何ももめることがないからだと
しています。同時にシーズンも毎年のように盛り上がりを見せてファンも楽しめているので、今シーズンの観客数も過去最高を
記録しているのでしょう(その裏でチケット代が高くなっている点も見逃せないのだけど)。1994年のストライキがあった頃のような、
単なる金持ち同士のいがみ合いは薄れて、選手、ファン、経営側の三位一体が勝ち組だと言えるようです。

そして、2011年まで次の協定が有効となっており、7月には2012年までの放映収入の契約も済み、しばらくは薬物問題であったり
国際化など、メジャーリーグの今後の問題に注力できます。既にメジャーリーグは中国での公式戦開催を検討するなど、アメリカだけでなく
世界のプロスポーツといかに戦っていくかという攻めの姿勢に変わりつつあるようです。

こうしたメジャーリーグの動きを見ると、日本球界はちょうど10数年前のメジャーリーグを見ているようです。あの頃のメジャーリーグは
どちらも金のことしか頭になかったこと、およびファンは選手にもオーナー側にもそっぽを向けていることと比べると、日本球界のゴタゴタは
今の時点ではファンが選手側の見方をしている(もしくは選手会が勝手にそう思い込んでいる)点と、年俸ではなく労働環境について
あぁだこうだと争っている点が異なっています。

しかし、2004年のゴタゴタはチームが減ることや、2リーグ制の存続であったり、プロ野球の根幹を揺るがすことだったので、世間も騒ぎ出し、
ファンが選手を後押しした点は否めません。今回は普通のファンでは簡単にはわかりづらい労働環境の問題なので、労使共に合意点が
見出せないと、ファンは1994年のアメリカのように、完全にそっぽを向く可能性が高いと思います(むしろ、「選手はあれだけ高い金を
もらっていて生意気なことを言うな!」という声も出てくる可能性があります)。

景気が上がってきた日本にあってプロ野球に関しては不景気な話が続いています。今年もまた日本人選手が黄金のリーグを目指して
アメリカへ行こうとしている中で、日本のプロ野球はまた暗黒の時代になりかねないようです。

by nono_aibon | 2006-11-05 00:00 | MLB


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