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2006年 11月 16日

"parity"再考

Seattle sacks Oakland 16-0 in the rain(NFL.com)
Parity a thing of the past in NFL?(ESPN)


先週の試合になってしまいますがひとつ取り上げます。

そうはいいつつ、取り上げるほどの内容ではない試合でした。何しろレイダースのオフェンスラインがあまりにも弱すぎて、
試合になりませんでした。いくらQBを変えたところでも、そのQBを守るオフェンスラインがあれでは1stダウンの獲得すら
難しいのです。この前の週、レイダースはスティーラーズ相手に勝利しましたが、そのときもオフェンスはたったの98ヤードしか
獲得できませんでした(ディフェンス陣のがんばりで勝利した試合でした)。QBが9回もサックされて、フィールドに埋もれるのも
うなづけます。そして、レイダースはNFL史上初のマンデーナイト同一シーズン2連敗、それも2敗とも完封負けという
不名誉な結果を生みました。

こんな試合を見せられてしまったら、今のNFLに"parity"が存在するのかどうかという疑問が浮かぶこともうなづけます。
日本のプロ野球でも一昨年ぐらいには"parity"ということが言われていました(今はそうした議論はどこへ行ったのか?)。
日本において"parity"は「勢力均衡」と訳されることが多いです。リーグ内で飛びぬけて強いチームを作ることなく、
どのチームも優勝を狙うことができるチャンスがある状態が勢力均衡です。

しかし、ちょうど折り返し地点でもある9週目が終わったところで、まだ負けがないコルツ(Week10にも勝利し、
未だに無敗)を含めて8チームが6勝以上を上げている一方で、レイダースやスティーラーズを含めた13チームが
3勝以下という開きが出ています。それでも、2002年のエキスパンション以降では、昨シーズンよりもまだマシらしいのです。
昨シーズンの同時期には、6勝以上のチームが8つ、3勝以下のチームが14あったとのことです。

一方で、Week9までの128試合のうち、フットボールでは接戦とされる7点差以内の試合が45.7%、3点差以内の試合は
26.8%あった一方で、29試合が(29%ではないところもある意味言葉のあや?)20点差以上(この中にはレイダースが
マンデーナイトで完封負けしたWeek1の試合も含まれます)、9試合が30点差以上、2試合が40点差以上、厳密に言うと
41点差で決まっています。(Week4の49ers@チーフスと翌週のジェッツ@ジャガーズ。どちらも41-0でホームチームが
勝っています。)

ディベート国家のアメリカですので、こうやってあれやこれやと数字を並べ立てられて「どうだ、NFLの勢力均衡は失われつつ
あるんだよ!」と納得させられるかもしれません。しかし、これは大前提が間違っていると思います。スポーツで戦う以上、
どういった形であるにしろ、勝ち負けは必ず起こるのです。仮に今シーズンの勝ち負け数が同じで、全てが7点差以内の試合だったら、
それは勢力均衡だと言えるのでしょうか。逆に、全体的に5割に近い成績のチームが混在しているにもかかわらず、その多くの
試合が20点差以上で決まっているのであれば、それも勢力均衡とは言えないでしょう。

そもそも、勢力均衡を目的としたところで結果がそれに付いて来るということはありえないのです。もちろん、勢力均衡の理想の下、
ドラフト制度やサラリーキャップ、FA制度が整えられているのですが、それを上手く使いこなせるかどうかというチーム力に
差がある以上、何らかの格差は絶対に生まれます。そう考えれば、例えばレイダースが負けが多いのは今のNFLが"disparity"
だからではなく、NFLが"parity"を支えるハードを用意しつつも、レイダースがそれを上手に使いこなせないからなのでしょう。
逆にブルックスが去った今年のセインツは、このハードソフトを上手く使いこなしてディビジョン首位に立つことができています。
ある程度の制限が課された中でチームを強くすることは本当に難しいのです。

by nono_aibon | 2006-11-16 18:05 | NFL


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